VRとは何かをわかりやすく簡単に解説!活用方法とは?
皆さんはVRの世界を体験したことがありますか?
現実とはかけ離れた世界を体験できるVRは、今までの常識を塗り替えられる画期的な技術です。
例えば、自宅からファンタジーの世界へ行けるとすれば、それはもうワクワクが止まりませんよね。
今回は「VRとは何か」を中心に解説しながら、VRが活用された事例やVRの仕組みもあわせて解説していきます。
VRとは?
誰でも気軽に立体的な仮想世界を体験できる「VR」は、日本に限らず世界中から注目されている画期的な技術です。
現在はゲーム以外にも、スポーツ観戦や注文住宅の内見への導入が進んでおり、今後私たちの生活でも身近な存在になるでしょう。
ここからは「VRとは何か?」を中心に解説していきます。
VRは「Virtual Reality(バーチャルリアリティー)」の略
VRは「Virtual Reality」の略であり、直訳すると「仮想現実」と呼ばれます。
その名の通り、仮想的な現実世界をあたかも現実の世界として擬似体験できる技術で、現在はゲーム以外の分野にも活用する取り組みが進んでいます。
例えば、不動産業界でのVRを用いた内見や、建設業界の新人トレーニングにも応用され始めています。
VRゴーグルを利用して360度広がる仮想空間の体験ができる
VRゴーグルを装着すれば、私たちが体験したことのない圧倒的な世界が広がっています。
VRは3D映画のように正面に広がるスクリーンが立体的に見えるのではなく、ご自身を中心とした360度すべての景色が、まるで現実世界のように見えます。
五感を刺激してよりリアルな体験も可能になっている
人間には視覚、聴覚以外に、嗅覚、味覚、触覚などの感覚機能が備わっています。
VR空間での体験と連動して香りの粒子を放出するデバイスなど、五感を体験できる技術の研究・開発も進んでいます。
VRのしくみを簡単に解説
「立体的な仮想空間はどうやって映し出しているの?」と疑問に思う方も多いかと思います。
VRゴーグルを装着すれば、360度見渡す限りのまったく違う世界が広がっているので、不思議に思いますよね。
それでは、ここからはVRの仕組みを初心者の方にもわかりやすく解説していきます。
左右それぞれの画面に映像を映し出すことで立体的に見えるようになる
人間の目は、左目と右目で見ている世界にズレがあり、その視差を利用して私たちは物を立体的に捉えられます。
VRはこの『人間の左右の目の視差』を利用しています。
左右の目に合ったディスプレイに微妙に違う映像を映し出し、立体的な表現を可能にしました。
向きを感知するセンサーにより顔を向けた方向の映像へ切り替わるしくみ
VRでは現実世界と同様に、上に頭を動かせば視点は上に向き、下に頭を動かせば視点は下に向きます。
VRゴーグルの内部には顔の向きを検知するセンサーが取り付けられており、顔の向きに合わせて映像も動く仕組みです。
VRには何が必要?
一般家庭でVRを体験するためのデバイスは、家電量販店などでも購入できます。
VRを体験するためには、何が必要なのでしょうか。
ここからはVRの世界を体験するために必要な機器をご紹介します。
VR機器
VR機器は主に「VRゴーグル、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)」を指す言葉で、この機器はVRを楽しむためには必要不可欠です。
VRゴーグルはVRを楽しむための必須アイテム
VRゴーグルはVR体験の中核ともいえる装置で、ユーザーが仮想現実に没入するためのサウンドやディスプレイ、センサーを搭載しています。
よりリアルな仮想世界を体験するために、バランス感覚や温感を感じられるモデルまで存在します。
簡易的なヘッドセットから本格的なVRゴーグルまで様々
VRゴーグルにも、比較的安価で入手しやすいモデルから本格的なハイエンドモデルまで幅広い機種が販売されています。- 簡易的なヘッドセットタイプ
- サングラスタイプ
- 本格的な箱型タイプ
などのさまざまな種類があり、ご自身の用途に合わせたVRゴーグル選びが可能です。
コントローラーやリモコン
仮想現実の世界で自由な操作を可能にしているコントローラーやリモコンも、VR世界を体験するために必要な機器です。
多くのVRゴーグルには専用のコントローラーやリモコンが付属しており、セットで購入すれば買い忘れる心配もありません。
VR動画内での移動操作が手元でできるコントローラー
VRの映像内で快適に操作したい方は、コントローラーにボタンが付いているタイプがおすすめです。
- シューティングゲームに適した「拳銃型」
- 手先の動きも繊細に動かせる「グローブ型」
など、用途に合ったコントローラーも販売されています。
基本的に、両手で2つのコントローラーをそれぞれ持つため、ご自身が手元で操作しやすい形を探してみるのもよいですね。
VR動画を視聴するだけなら不要
VRを用いた動画視聴だけを目的に購入を検討する場合は、コントローラーは不要です。
また、最近のVR機器には「ハンドトラッキング技術」が実装されているモデルもあり、コントローラーを使わずとも指先の動きだけで操作できるモデルも販売されています。
「子どもがいるからコントローラーは使いたくないな」などと考える方でも、ハンドトラッキング技術が搭載されているモデルを選んでみてはいかがでしょうか。
※ハンドトラッキング技術:映像に映る手や指先の動きをトラッキングして操作できる技術。
スマホやPCでも視聴可能?
VRはスマホやPCでも視聴が可能です。
スマホでVRを楽しむためには、スマホが装着できるタイプのVRゴーグルを購入する必要があります。
ゴーグルのディスプレイ部分にスマホを装着するため、ゴーグルにはディスプレイが装着されていません。
お値段はディスプレイ付きのモデルと比較しても、安価で手が届きやすい点がメリットです。
一方で、パソコンでVRを最大限に楽しむためには、要求されるパソコンのスペックに注意して選ぶ必要があります。
最大出力やディスプレイの性能がVRゴーグルによって異なるため、スペックと比較しながら選んでみましょう。
VRへの接続はパソコンと同期するだけなので、初心者でも簡単に接続できます。
VRとARの違いとは
VRと似た言葉に「AR」という言葉がありますが、明確な違いをご存知でしょうか。
どちらも似た意味を持つため、意味を混同してしまうかもしれません。
ここからはVRとARの違いを簡単に説明していきます。
VRとARの大きな違いは100%バーチャル空間かどうか
VRとARの明確な違いは「100%バーチャル空間かどうか」です。
VRは、VRゴーグルを装着し、360度見渡す限りのバーチャル空間が広がっていました。
一方でARは、現実の世界にデジタル情報を追加できる技術で、スマホやタブレットを介してデジタル情報を現実の世界に反映させます。
バーチャル空間の規模を比較しても、「一部しか反映されないAR」と「世界全体がバーチャル空間になるVR」とでは大きな差があります。
VRは100%仮想空間
VRはVRゴーグルを装着することで、視界の100%を仮想空間として反映します。
視点を移動させると、頭の動きを感知するセンサーが反応し、画面も視点の向きに動きます。
ARでは現実世界にデジタル情報を取り入れた空間
ARはスマホやタブレットを通して、現実世界の景色にデジタル情報を取り入れた空間を指します。
反映されたデジタル情報は立体的ですが、あくまで画面上のみ反映されるので、バーチャル空間の規模は小さいのが特徴です。
VRとARの実例
VRとARは「バーチャル空間の規模の違いで見分けられる」とわかりました。
ここからは、VR技術とAR技術を生かした実例をそれぞれご紹介していきます。
VR空間の一例
日本屈指の遊園地であるユニバーサルスタジオジャパンが提供する「鬼滅の刃 XRライド ~夢を駆ける無限列車~」は、VR空間を利用し鬼滅の刃の世界を表現しています。
VR技術を利用した斬新なアトラクションとして2021年に登場しましたが、「もう一度乗りたい」との要望で、2024年2月1日から再びアトラクションとして利用が可能になりました。
AR空間の一例
靴の大手メーカーNIKEでは、AR技術を搭載したアプリ「NIKE Fit」を配信しています。
スマホのカメラで自分の足を撮影すると、サイズや形を自動で計測し、最適なサイズを教えてくれます。
オンラインショップで靴を購入する際の「実際に履いてみないとわからない」をAR技術を用いて解決した一例です。
VRでできること
仮想的な現実世界を生み出せるVRは、私たちの生活の中に浸透しつつあります。
例えば
- アニメの世界を再現した仮想空間を楽しめる
- ゲームを立体的に楽しめる
など、VRは現実では不可能な部分を再現できる画期的な技術です。
ここからはVRを使った事例を各分野ごとにご紹介していきます。
教育分野でのVRの活用例
教育分野でVRを活用した例は下記の通りです。
- 社会科見学
- 校外学習
- 自然体験学習
- 防災訓練・避難訓練
中でも、防災訓練や避難訓練は実際の事象が発生していないことから、危険や被害などもわかりにくいですよね。
そこで、VRを使用することで、実際の事象に近い空間を作り出せるので、再現性の高い訓練が行えます。
ここからは、具体的な活用事例をいくつかご紹介します。
株式会社Lipronext
株式会社Lipronextが新潟県立五泉高等学校で商業科目である「広告と販売促進」を選択した生徒へVRを用いて授業を行いました。
『紙媒体の広告とVRを用いた立体的な広告では、どちらがお客様にしっかり伝わるのか』をVRを使って検証するなど、通常授業では実感できないような、リアリティのある店舗運営についても学びました。
社会経験のない生徒にとって、授業だけではイメージがしづらい「商業・広告」という部分において、VRを使用した新たな視点を開拓できます。
今まで実際の経験が積めない「商業・広告」の分野にVRを導入することで、『教科書のような紙媒体よりも深い知見を得られるのでは』と期待されています。
愛知県豊田市立浄水中学校
愛知県豊田市立浄水中学校は、社会科の授業の一環として、VRを使ったアジア圏の文化の学習を行いました。
通常の紙媒体で学習する海外の文化を、VRに投影して立体的に表現することで、より深い知見を得られるといった学習です。
海外に研修を目的に渡航すると、生徒の安全や先生の負担も大きく、現実的ではありませんが、VRを用いることで、学校にいても海外文化を生徒たちが体験し、理解を深められ、教育に大きく貢献できるのではと期待されています。
医療分野でのVRの活用例
医療分野でのVRを活用した例は下記の通りです。- 手術トレーニング
- リハビリ
- 医療教育
- シミュレーション
中でも、VRを使った手術トレーニングは、実際の患者でトレーニングができない医療業界では革命的な方法といえます。
教育面やリハビリでも、現実世界では再現できない立体的な訓練を行えます。
ここからは医療分野でのVR活用例をご紹介します。
The Stanford Virtual Hearts
スタンフォード大学では、医療教育としてVRを導入しており、心臓の内部構造まではっきりわかる「バーチャルハート」で心臓の動きや役割を学習できます。
本来、心臓は体の内部にある器官なので、立体的に見る機会はほとんどありません。しかし、VRが作り出した心臓はパーツごとに分けられたり、半分にしたりと、より深い知見を得られます。
心臓に限らず、肺や膵臓など幅広い臓器をVRに映し出すことで、生徒の学習能力を向上させたり、医療の発展にも期待が高まっています。
アメリカ デューク大学
アメリカのデューク大学にて、脊髄損傷により歩行が困難になった患者を対象にVRを使った歩行訓練を実施しました。
患者は脳波で操作できるパワードスーツを装着し、VRにて表示された歩行画面を見ながら歩く訓練をする、といった内容です。
最終的に歩行訓練を受けた10人のうち8人が最低限のサポートで歩行できるまで回復し、患者自身も「効果を実感できた」と回答しています。
これから歩行訓練を含むリハビリ面で、VRの導入が進んでいくと予想されます。
エンタメ・スポーツでのVRの活用例
エンタメ・スポーツでのVRを活用した例は下記の通りです。- スポーツ観戦
- 審判トレーニング
- VR eスポーツ
- ミュージックフェス
スポーツにおけるVR技術の導入は急速に進んでおり、ご自身がVRゴーグルを装着するタイプからメタバース上でスポーツ観戦ができるタイプなど、幅広い活用方法が生まれています。
ここからはエンタメ・スポーツでのVR活用例をご紹介します。
インテル True VR
大手半導体メーカーのインテルが開発した「インテル True VR」は、まるでスタジアムにいるかのような臨場感が味わえるVRスポーツ観戦です。
インテル独自のペアレンズ立体カメラポッドにより、選手たちの動きを自然なパノラマビューで再現しています。
例えば、平昌2018冬季オリンピックにて、「True VR」を用いた生中継を実施しました。
今後、処理能力の向上や権利関係が解消されれば、新たなスポーツ観戦の道が切り開かれると予想されています。
フォートナイト
Epic Gamesから提供されている大人気ゲーム「フォートナイト」にて米津玄師・星野源がバーチャルライブを開催しました。
新型コロナウイルスの流行で、世間が閉鎖的になった際に、米津玄師がファンと一緒に過ごしたいという思いから実現したイベントです。
フォートナイトのゲーム内にて世界中のファンが集結し、新しいライブの形「バーチャルライブ」として世界中の人たちに歌を披露しました。
今後、ゲームをはじめとするVR空間でのライブが世間に浸透していき、自由なライブが開催されると期待されています。
まとめ
今回紹介した「VRとは何か」を下記にまとめてみました。- VRは仮想現実を体験できる
- VR:360度全てがバーチャル空間 AR:現実世界にデジタル情報を追加する技術
- 医療・エンタメ・スポーツ・教育など幅広い分野で活躍している
VRは現実世界では実現できない物事を、仮想現実の中で実現できる技術でした。
特に医療分野は、新人の実践経験が積みにくく、VRを用いた研究や学習は画期的な発展ともいえるでしょう。
これからの新しい常識として、私たちの生活の中でVRが欠かせない存在になる日はそう遠くありません。