AR(拡張現実)を簡単にわかりやすく解説!VRとの違いは?
近年、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)といった言葉をよく耳にするようになりましたが、何が違うのかと聞かれたら明確に答えられる人は少ないのではないでしょうか?
そんな初心者のひとでもARの特徴や、ARとVRの違いについてわかりやすく理解できるように、なるべく難しい言葉を使わずに情報をまとめました。
この記事ではARの詳細やVRとの違い、実際の活用事例について知ることができます。
内容を読み終える頃には、ARの詳細やARとVRの違いがどのようなものか明確になります。
ARとは?
まずARとは何なのか、どのような分野で活用されているのかについて詳しく解説していきます。
ARは「Augmented Reality」(拡張現実)の略
ARとは「Augmented Reality」の略で、日本語では拡張現実という意味になります。
なぜ、ARが拡張現実を指す言葉として使われているのか、詳しく解説していきます。
現実世界にデジタルの情報を追加する技術
ARが拡張現実を指す言葉として使われているのは、スマートフォンや専用のヘッドセットなどのディスプレイ上に様々なデジタルの情報を追加することで、現実を拡張してくれる技術だからです。
たとえば、スマートフォンのカメラでキャラクターが描かれたカードを映すと、スマートフォンのディスプレイ上でキャラクターが動き出す、といったようなことが可能になります。
したがって、ARは「拡張現実」を指す言葉として使われています。
幅広い分野で活用されている
ARは広告・スポーツ・医療・観光・芸術・エンターテインメントなどの幅広い分野で活用されています。
ARを活用することで、
- 店舗への集客
- 商品購入時のシミュレーションを通じた販売促進
- 作業現場などへの導入で業務効率化がすすむ
などを実現しています。
たとえば、大手家具メーカーのニトリでは、スマートフォンを用いて自宅の室内で家具の配置シミュレーションができる「NITORI AR」というサービスを提供しています。
家具を設置したい場所にスマートフォンをかざすことで、簡単に家具のサイズや色味が合うのか確認できます。
こうして顧客が店舗へ足を運ぶ手間を省くことで、遠方の顧客も獲得できるなど、販売促進の効果が期待できます。
また、観光PRへの活用も注目を浴びています。
「あわじ旅すごろくスタンプラリー」という観光案内のパンフレットにARアプリをかざすことで、観光名所のPR動画や施設のクーポンが表示されて回遊と利用を促進しています。
したがって、ARは幅広い分野で活用されているのです。
ARは大きく4種類に分けられる
ARは大きく分けると
- マーカー型(画像認識型)
- GPS型(位置情報認識型)
- 空間認識型
- 物体認識型
の4種類に分けることができます。
ここでは、それぞれの特徴について解説していきます。
マーカー型(画像認識型)
- 特定の写真やイラスト、文字などを認識するとARコンテンツを表示(情報を追加)する
- ポスターや画像、壁面のデザインなどに用いるのが適している
- シンプルで自由度が高く、コストがかからない
- 対象物(画像など)の明るさや、環境に左右されやすい
- 製品パンフレットなどで活用されている
GPS型(位置情報認識型)
- スマートフォンなどの端末にある位置情報を基にARコンテンツを表示(情報を追加)する
- 端末の位置情報と加速度センサーを組み合わせ、リアルタイムにキャラクターなどの情報を表示できる
- スマートフォンの道案内や地図に関連するサービスで活用されている
空間認識型
- スマートフォンなどの端末にあるカメラやセンサーで現実の空間を認識しつつ、ARコンテンツ(追加される情報)と組み合わせて立体的な空間を再現できる
- 現実空間の大きさや奥行き、高低差を認識できる
- ユーザー自身でARコンテンツ(追加される情報)の表示場所を調整できる
- ゲームや家具の配置シミュレーションなどで活用されている
物体認識型
- 特定の立体物を認識するとARコンテンツを表示(情報を追加)する
- 立体物はどの角度からでも認識でき、カメラで撮影すると対象物の特徴が解析される
- 解析した情報を基に特定の面に対してARコンテンツを表示(情報を追加)する
- おもちゃやフィギュア、商品パッケージなどで活用されている
ARとVRの違いとは
「AR」とよく似た言葉として、「VR」も耳にしたことがあるかと思いますが、何が違うのでしょうか?
ARとVRの特徴や違いを解説していきます。
現実の世界に作った空間を融合させるのがAR
ARでは現実世界にデジタル情報を取り入れている
ARは現実世界がベースになっており、現実世界にデジタル情報を投影させることで、新たな体験ができたり、利便性を高められる技術です。
使用するデバイスは
- スマートフォン
- タブレット
- ARグラス
などがあります。
また、主に企業のマーケティングやPR、ナビゲーションやインフォメーションなどで利用されています。
VRは100%バーチャル空間
一方、VRでは仮想世界がベースになっており、100%バーチャルの空間に入り込み、現実で実際に起きているかのような高い没入感のある体験ができる技術です。
使用するデバイスは
- VRゴーグル
- VRグラス
- VRヘッドセット
などがあります。
また、エンターテインメント(ゲームや映画)、旅行や不動産の確認などでも利用されています。
VRとARの実例
VRとARの違いを解説しましたが、それぞれの実例をいくつかご紹介します。
AR空間の一例
- ポケモンGO:スマートフォンを通じて、あたかもキャラクターが目の前にいるかのような体験ができるゲーム。現実世界をベースに作られています。(例:ポケモンGO)
- 未来のQR名刺:特定の名刺にスマートフォンをかざすと、動画で相手の顔や音声メッセージがみれます。(例:未来のQR名刺)
- Haagen-Dazs Concerto Timer:高級アイスのハーゲンダッツの蓋にスマートフォンやタブレットをかざすと、ヴァイオリニストの演奏動画を楽しめます。(例:Haagen-Dazs Concerto Timer)
- Googleマップ:スマートフォンを歩道にかざすと、映し出された風景に目的地への進行方向や残りの距離が表示され迷いません。(例:Googleマップ ARナビゲーション)
- 工場機械の取説:スマートフォンを工場内にある機械にかざすと、機械の操作方法が表示され、新人研修の効率化を図ります。(工場機械の取説)
VR空間の一例
- ANA VIRTUAL TRIP:VRゴーグルを通じて、旅行先の風景を360°観ることができ、旅行気分を味わえる。仮想世界をベースに作られています。(例:ANA VIRTUAL TRIP)
- ビートセイバー:VR空間内で音楽にあわせて、奥から迫ってくるキューブを光の剣で切って遊ぶ体感ゲームです。(ビートセイバー)
- 映画鑑賞:VRヘッドセットを通じて、VR空間内に大きなモニターを表示させ、映画を観れます。(映画鑑賞)
- VR住宅展示場:VRゴーグルを通じて、現地に行かなくてもモデルハウスの内見ができます(例:VR住宅展示場)
ARを活用した事例を紹介
ARはマーカー型、GPS型、空間認識型、物体認識型の4種類に大別できると解説しましたが、それぞれ実際の活用事例をご紹介します。
事例1:マーカー型
「ウルトラふくしま実行委員会」がウルトラマンに関連するARスタンプラリーを開催しました。
福島県内の全57箇所にマーカーを設置し、専用アプリで読み込むことで、スタンプとARフォトフレームが入手できます。
これにより、ウルトラヒーローや怪獣と一緒に写真をとれるというイベントです。
また、スタンプを集めることで、オリジナルシールのプレゼントやオリジナルのウルトラマン像、宿泊券があたる抽選に応募できます。
毎年ブラッシュアップしながら、スタンプラリーを開催したことでファンの集客や満足度、周遊性の向上を実現しました。
事例2:GPS型
大手IT企業のGoogleが開発した「Googleマップ」ですが、こちらはGPS型を利用したナビゲーションアプリです。
Googleマップのライブビュー機能を使うことで、ARを用いたナビゲーションを利用できます。
Googleマップのナビゲーションは通常、平面の地図上で経路や進行方向を案内します。
そして、ライブビュー機能を使うと、スマートフォンのカメラで写した風景に対する進行方向や距離を表示します。
したがって、ご自身の進行方向が直感的にわかりやすくなることから、方向がわからなくなりがちな車の運転時や、新しい場所へ行く際にも、高確率で目的地にたどり着くことが期待できます。
事例3:空間認識型
大手家具メーカーのIKEAが大手IT企業のAppleと共同で「IKEA Place」というARアプリを開発しました。
IKEA Placeでは、スマートフォンを家具の設置したい空きスペースへかざすだけで、
- 購入を検討している家具がどのように見えるのか
- 設置スペースに収まるのか
を簡単にチェックできます。
IKEA Placeの開発により、オンライン販売の弱点になっていた『店舗での実物確認』をする必要がなくなりました。
そのため、顧客の購入における意思決定を手助けして、消費を促す効果が期待されています。
2017年に「IKEA Place」をリリースしたあと、2019年の売上高が初の400万ユーロを超え、オンライン販売は43%増加という成果も出ています。
事例4:物体認識型
大手飲料メーカーのアサヒビールが、キャンペーンとして乃木坂46とコラボレーションしたARコンテンツを展開しています。
スマートフォンから専用のサイトを経由してカメラを立ち上げ、ビールの缶へかざすと、乃木坂46のメンバーからのメッセージ動画を観れます。
また、かざす本数によってランダムで複数メンバーの会話を楽しめます。
限定コンテンツを観たいファンの方の複数購入へつなげ、販売促進の効果が期待できます。
まとめ
この記事では、ARの事例や、ARとVRの違いとは何なのかについて解説してきました。
「2016年はAR元年」と呼ばれ、ARを利用したポケモンGOが登場したことにより、ARが人々に急激に認知されるようになりました。
Grand View Research社(海外のリサーチ会社)の調査結果によると、
- 2022年にはAR市場が385億6000万米ドル(約5兆2,300億円)
- 2023年から2030年にかけて年平均成長率39.8%のペースで拡大する
と予測されています。
ARはまだまだ成長の余地がある分野なので、これからの動向に目が離せません。