近年、注目を集めているメタバースは、スポーツ業界にも大きな影響を与えつつあります。本記事では、メタバースがスポーツ業界にどのように活用されているのか、具体的な事例を紹介していきます。
VRとメタバースの違いやメリットについてもわかりやすく解説していますので、ぜひご覧ください！
メタバースとは？
メタバースとは、インターネット上に構築された3次元仮想空間やそのサービスを指します。
「超越」や「高次元」を意味する「メタ（meta）」と、「宇宙」や「世界」を表す「ユニバース（universe）」をかけ合わせた造語です。
メタバース上では、ユーザーは自身の分身となるアバターを使って生活を送ります。
メタバースでできること
メタバースでは、主に以下のようなことができます。
- コミュニケーション：アバターを通じて他のユーザーと交流
- ゲーム：3D空間でゲームをプレイ
- イベント：バーチャルイベントに参加
- ショッピング：バーチャル空間で商品を購入
- 仕事：バーチャルオフィスで仕事
- 学習：バーチャル空間で学習
メタバースとVRの違い
メタバースとは、3D仮想空間上で、アバターを通じて様々な活動を行える仮想世界のことです。
一方、VR（仮想現実）はヘッドセットなどのデバイスを用いて、現実世界とは異なる視覚や聴覚などの感覚を体験する技術です。
メタバースはVRを含む様々な技術を活用して構築されており、VRはメタバースを体験するための手段の一つと言えます。
メタバースはどんなところで利用されている？
メタバースはユーザー同士のコミュニケーションが取れるインターネット上の仮想空間で、実は気づかない間に身近なところで触れている可能性もあります。
ここでは、私たちにとって身近なメタバースの例をご紹介します。
ゲーム（Fortnite・マインクラフト）
まずは、ゲーム分野での紹介です。
これらはメタバースによる仮想空間でユーザー同士が楽しめるゲームになります！
どちらも非常に有名かつ、昔から人気のゲームなので、一度は楽しんだことがある方もいるのではないでしょうか？,
- Fortnite：プレイヤーはバトルロイヤルの世界で生き残りを目指します。建築要素もあり、他のプレイヤーと協力して戦略的に戦うことができます。イベントやコラボレーションが頻繁に行われるため、常に新しいコンテンツを楽しむことができます。
- マインクラフト：プレイヤーはブロックを使って自由に建築したり、冒険したりすることができます。他のプレイヤーと協力して巨大な建築物を作ったり、サバイバルゲームを楽しむこともできます。
ビジネス分野での活用例
続いては、ビジネスシーンで使われるメタバースです。
すでにビジネス分野でも様々な活用方法がありますが、今後はますますビジネス市場において、新しい事業や活用方法が生み出される可能性があると言われています。
バーチャルオフィス
コロナ禍の影響で、近年ではリモートワークが普及しています。バーチャルオフィスでは、アバターを使って会議に参加したり、資料の共有などが可能となります。
バーチャル展示会
実際の会場に足を運ぶことなく、商品やサービスの展示や紹介が可能となります。遠隔地の顧客にも商品をアピールでき、コスト削減にもつながります。
バーチャルイベント
リアルイベントと同様に、講演会やセミナーなどを開催できます。参加者は、自宅にて参加でき、時間や場所の制約を受けずにイベントに参加できることから、世界中からより多くの集客が見込めます。
メタバースをスポーツ分野へ活用するメリット
このように、多くの分野で活躍を見せているメタバースですが、ここからはいよいよスポーツ分野とメタバースについて見ていきましょう。
メタバースを事業に取り入れることで、具体的にどのようなメリットが期待できるのでしょうか。
今までにない観戦方法が楽しめる
メタバースを取り入れることで1番大きく変わるのは、スポーツ観戦に大きな変化が生まれることです。
今までは現地に行かざるを得なかった観戦形式が、世界中のどこにいても同じような楽しみ方ができるようになります。
例えば、以下のような観戦形式が可能になります。
- VR観戦：試合会場に実際にいるような臨場感で観戦が可能
- 多視点観戦：自由な視点で試合を観戦できる
- 選手目線観戦：選手の目線で試合を体験できる
- リアルタイムデータ分析：選手の動きや試合状況の詳細なデータを確認できる
これらの取り組みは、スタジアムに足を運ぶことが難しいファンや、より深く試合を楽しみたいファンにとっても魅力的な体験ができます。
こうして、スポーツをさらに楽しめて、ファン層を広げることができます。
トレーニングの質向上
メタバースは、アスリートのトレーニングにも活用できます。
- バーチャルコーチ：リアルタイムで指導を受けられる
- バーチャル対戦：遠隔地の選手と練習や試合が可能
- バーチャル環境でのトレーニング：実際の環境を再現した中で練習
このように、アスリートの練習効率向上や、時間や場所の制約を受けずにトレーニングできる環境が期待できます。
ファンとのコミュニケーションに活かす
メタバースは、ファンとのエンゲージメントを強化するためのツールとしても活用できます。
- ファンコミュニティ：ファン同士が交流できる場を提供できる
- バーチャルイベント：ファンイベントや限定コンテンツの配信
- バーチャルグッズ販売：アバター用アイテムや限定グッズの販売
ファンとの距離を縮めたり、情報発信がしやすくなるなど、新たな収益源を生み出す可能性があります。
スポーツの普及に活かす
メタバースを使えば世界中によりリアルな広告・宣伝が可能となります。これにより、スポーツの普及や収益アップにも貢献してくれる可能性があります。
- バーチャル体験：実際に体験する前に、バーチャルでスポーツを体験
- 競技人口増加：新たなファン層の獲得、競技人口の増加
こうして多くの人にスポーツに興味を持ってもらい、競技人口の増加にもつながる可能性が広がっています。
その他のメリット
他にもスポーツ業界において様々な活かし方があります。
- 収益源の創出：バーチャル観戦チケット、バーチャルグッズ販売、メタバース広告
- スポンサー獲得：メタバース空間での広告掲載、バーチャルイベントへの協賛
- データ分析：観戦データや選手データの分析
これらのメリットは、スポーツ業界全体の活性化にもつながります。
メタバース×スポーツ活用事例
実は、すでにスポーツ界でもメタバースは利用されています！
それでは、現在のスポーツ業界において、メタバースを実際に活用した具体的な事例をご紹介します。
スポーツやパブリックビューイングでの事例
まずは、スポーツやパブリックビューイングにおける活用事例を見ていきましょう。
KDDI：日本代表サッカー戦の観戦
KDDIは、メタバースプラットフォーム「cluster」上で、日本代表サッカー戦のパブリックビューイングを複数回開催しています。
参加者はご自身のアバターでスタジアムに入場し、他のファンと交流しながら観戦できます。
「cluster」では、選手の目線やゴール裏といった、通常では体験できないような観戦方法が楽しめると話題になりました。
VR上でのサッカー日本代表戦のパブリックビューイングイベントは、3試合で延べ約3万人を集めるほどの盛況ぶり！
3試合の来場者の約8割が、「日本代表戦を初めて観戦した方」ということで、新たなファン層の拡大に繋がったと言える事例です。
KDDIと京都サンガF.C.「AR応援チャレンジβ版」
KDDIと京都サンガF.C.は、2024年3月2日に行われたJ1リーグの試合で、AR技術を活用したスマホゲームを通じてファンがチームを応援する実証実験を実施しました。ファンはスタジアム内でAR演出を楽しみながらゲームに参加し、ギフトを贈ることでチームを応援することができました。
女子ハンドボールチーム「オムロンピンディーズ」
女子ハンドボールチーム「オムロンピンディーズ」は、メタバースを活用した様々な活動でファンとの交流を深めています。
バーチャル空間でのファンイベントでは、選手とファンが交流できたり、バーチャル観戦においては、従来とは違った臨場感あふれる観戦スタイルが楽しめます。
メタバース空間内のショップでグッズの購入もできます。
マンチェスターシティ
プレミアリーグの強豪クラブであるマンチェスターシティは、メタバースを活用した様々な取り組みで、ファンエンゲージメントの向上や収益拡大を目指しています。
マンチェスターシティはソニーグループと提携し、ホームスタジアムである『エティハドスタジアム』の仮想バージョンをメタバース上に構築しています。
このメタバース空間では、チームの特別なグッズを購入できたり、選手とのコミュニケ―ション、ファン同士でコミュニケーションもとれるなどのお楽しみが満載。
さらにバーチャル観戦では、監督や選手の解説を聞きながら観戦できるなど、新しい観戦スタイルが楽しめます。
福岡ソフトバンクホークス
福岡ソフトバンクホークスでも、メタバースやARをとりいれて、新たなスポーツ体験を提供しています。
バーチャル空間に再現した「バーチャルPayPayドーム」でバーチャル観戦や選手のロッカーツアーをのぞける体験が楽しめます。
また、実際にドームに来場された方には「練習見学コース」に参加してもらい、練習中の選手のスタッツ情報をチェックしたり、実際の投球に重ねて球速や軌道などの投球解析情報をARで楽しめます。
スポーツイベントに向けての取り組み事例
さらに最近では、オリンピックやパラリンピックなどスポーツイベントにおけるメタバースの活用もされはじめています。
ここでは、より具体的な事例をご紹介します。
パラリンピック
国際パラリンピック委員会 (IPC)は、バーチャルリアリティ (VR) を使用して、パラリンピック競技を体験できる「The VR Paralympic Experience」を開発しました。
この体験では、車いすバスケットボール、陸上競技、射撃など、さまざまなパラリンピック競技をVRで体験できます。
メタバースを活用することで、パラリンピックへの理解や関心を深めたり、身体的な制約や場所の制限に関係なく、多くの人がパラリンピック競技を体験できると期待されています。
eスポーツ
メタバースプラットフォーム「ゼペット」では、eスポーツ選手のアバターを作成し、ファンとの交流やグッズ販売に活用しています。
ファンは選手のアバターと写真撮影したり、応援メッセージを送ったりできます。
さらに、選手のグッズをアバターに着用させて販売したり、アバターを使ったさまざまなイベントの開催も行っています。
まとめ
メタバースは、スポーツ業界に大きな変革をもたらす可能性を秘めています。
今後、さらに多くのスポーツチームや企業がメタバースを活用し、新たなファン体験やビジネスモデルを創出していくことが予想されます。
ぜひ、スポーツ分野でもメタバースを利用して、今後の新しいビジネスチャンスをつかみましょう！