ARを導入して自治体を盛り上げる!PR観光などの活用事例を紹介
「ARの導入で自治体はどう盛り上げられる?」
「観光や広報における活用事例は?」
この記事では、自治体でARを活用する際の基本情報や、活用事例をまとめました。
自治体の関係者でARの導入を検討している人は、参考にしてください。
ARは自治体で活用できる?
ARは、ネット上の広告やテーマパークの企画など、さまざまな場面で活用されています。
自治体も活用している場所の1つであり、自治体ならではの導入メリットも存在しています。
ARの基礎知識と、自治体における導入状況などを見ていきましょう。
ARとは
ARは、現実世界にデジタルコンテンツを視覚的に追加する技術です。
現実世界の情報のみでは表現できないコンテンツを提供して、情報や体験に付加価値を与えています。
ARとは「拡張現実」のこと
ARとは、「Augumeted Reality」の略称であり、日本語では「拡張現実」という意味になります。
ARを表示させるときには、スマホなどのカメラを利用して、画面上にデジタルコンテンツを映し出します。
ARの技術と仕組みについて
ARの技術と仕組みを大まかに説明すると、以下のようになります。
- デジタルコンテンツを表示する場所になる現実世界の「周囲の環境」や、「位置情報」を決める
- 「現実世界の情報(画像や位置、空間など)」と、表示させたい「デジタルコンテンツの情報(立体物や景色、動画など)」を紐づける
- AR専用のアプリやサイトを開いて、スマホなどのカメラ機能で設定した現実世界の情報を映し出すと、デジタルコンテンツが表示される
人気スマホゲームの「ポケモンGO」や、「ドラクエウォーク」などは、位置情報とARを組み合わせています。
- スマホのGPS機能で現在の位置情報を認識する
- 位置情報に沿って、設定されたキャラクターの登場や、アイテムをスマホの画面上に表示させる
- ARの拡張モードをオンにすると、現実世界を背景にして、キャラクターなどが表示される
特定の場所へ行ってARのキャラクターが表示されることで、その場所にキャラクターが待っているような体験ができます。
ARは自治体で活用できる?
デジタルコンテンツのARと、自治体の組み合わせについて、「活用できる場面があるの?」と疑問に思う人もいるでしょう。
しかし、近年の自治体が運営する観光地や、イベントで大いに活用されています。
すでに多くの自治体が取り入れて話題になっている!
自治体によっては、ARの技術を早い段階で導入しているところがあり、近年は活用事例も増えて話題になっています。
観光やイベントで注目される企画になるだけでなく、市町村の住民に対して、情報をわかりやすくする点でも重宝されています。
今後も成長の可能性を秘めているAR
ARのシステムは1950〜1960年代に開発されていましたが、積極的に活用され始めたのは、直近になります。
近年は、ARの技術を提供するサービスも増えており、ARの導入自体は容易です。
現在もARの技術を向上させるための研究や開発は続いていることから、今後の成長の可能性を秘めています。
自治体でARを活用するメリット
自治体におけるARは、外部からの観光や、地域の住民に対して、メリットが期待できる点から活用されています。
導入を検討する際は、以下のメリットを享受できる点を参考にしてみましょう。
地域活性化につながる
ARは、話題性が高く、外部からの注目が集まりやすいコンテンツです。
ARの導入からネット上で話題になり、SNSで拡散されると、観光地などへ足を運ぶきっかけになるケースもあります。
積極的なARの導入から、地域活性化につながる点は、大きなメリットです。
イベントやPR広告にも利用して地域創生に活かす
地域のイベントやPR広告にも、ARの話題性や注目度の高さが利用できます。
事前に宣伝することで集客率アップが期待できるため、地域創生にも活かせる点もメリットです。
地域のつながりが深くなる
自治体が発行する広報などの地域に根付いた媒体にQRコードを記載してAR利用ができるなどの、新しいARサービスが地域で導入されるケースも増えてきています。
より詳しい情報を立体物や動画をARで表示することで、住民の地域に対する理解も深まります。
このように、地域のつながりをより深くできる点も、AR導入するメリットです。
自治体×ARの活用方法
メリットの解説のみでは、自治体のAR導入についてのイメージが難しい方もいるでしょう。
ここでは、自治体におけるARの活用方法について、ジャンル別に紹介します。
旅行・観光スポットとして活用
旅行や観光スポットは、ARが積極的に活用されており、世界的な感染症の流行から国内でも導入先が増えました。
現地でデジタルコンテンツを表示するだけでなく、旅行や観光へ行く前の情報提供にも、ARが一役買っています。
ARスタンプラリー
ARスタンプラリーは、スマホで専用アプリやサイトを開いて、特定の設置物や場所を撮影しながらデータ上でスタンプを集めていきます。
アナログのスタンプラリーと比較すると、以下のようなメリットがあります。
- スタンプ台の設置や、台紙、インクなどの費用を削減できる
- 手に取ってスタンプを押す必要がないため、感染症対策になる
- 不具合が発生したとき、ネット上で検知、修正が可能
- 特典もデジタル商品にした場合、景品交換所や、スタッフの配置も不要
スタンプ集めから景品交換までスマホで完結できることから、旅行・観光客も手間を省いて利用しやすくなっています。
観光ガイド
観光ガイドにARを導入した場合、
- 公式サイトなどで実際の景色や、設置物の様子を表示させて、疑似体験ができる
- 現地の設置物に情報を紐づけて、動画や音声ガイドを表示できる
といった活用が考えられます。
観光地の疑似体験から、「実物を見てみたい!」という人もいるので、公式サイトにおける観光ガイドもARを導入する候補です。
フォトスポット
旅行や観光スポットに設置されるフォトスポットでは、
- 特定の場所のみで表示されるキャラクターなどのデジタルコンテンツを設置
- AR表示できるパネルを設置して、映えスポットにする
といった形でARが導入されるケースがあります。
有名な観光資源がない場所でも、デジタルコンテンツの表示から、その場所へ足を運ぶ付加価値を与えられます。
防災訓練や避難訓練の体験
近年の自然災害の多さから、ARの疑似体験によって防災や避難訓練を行う自治体も増えています。
通常の避難訓練にはない、視覚的に危険性を体験や確認できる点は、防災意識を高めるのにかなりの効果があるとみられています。
防災アプリなどを利用した訓練
自治体が主催する防災講座では、ARの防災アプリを利用した避難訓練が行われるケースがあります。
- 参加者はARゴーグルを装着して、開催場所で火災や地震などの災害が発生した想定で実際に避難してもらう
- 開催場所をスマホやタブレットのカメラで写して、煙の充満や浸水の様子を確認する
視覚上には炎や煙、浸水などが現実世界に反映されており、訓練の体験度が飛躍的に向上しています。
街の浸水想定などに活用
浸水などの危険性がある場所を示す「ハザードマップ」でも、ARが導入されているケースがあります。
ARで浸水したときの街の状態を視覚的に表現して、危険性や浸水時に想定される逃げ道を把握できます。
そのほかイベントや地域ならではの楽しみ方もできる
AR技術は、地域密着型のイベントや雑誌、施設にも活用されています。
特定の地域でしか見られなかったものや、体験できなかったものを、ARによって個人の手元で閲覧や体験が可能となり、広く魅力を伝えられます。
地域誌をAR化して画像や動画で紹介する
地域誌にARを導入した場合、雑誌内に設置したマーカーをスマホなどでスキャンして、画像や動画をARで表示できます。
文字や平面上の画像では説明が足りない部分を、詳細表示できる媒体で補うことで、地域の情報や歴史への理解が深められます。
地域の水族館や街に入り込んだ気分になれるAR
地域の水族館などの施設や街並みも、ARの表示によって、その場に行ったような疑似体験ができます。
自治体の公式サイトや、SNSにARが表示できるリンクを設置して、疑似体験から実際の訪問につながるケースもあります。
自治体で使用されているAR事業の具体例
ここでは、実際の自治体で使用されたAR事業の具体例を紹介します。
事例1:勝俣州和の富士山バーチャルガイドツアー(静岡県御殿場市)
静岡県御殿場市は、携帯会社のKDDI株式会社の協力のもと、富士山に関するデジタルコンテンツを提供していました。
そのうちの1つが、ARを利用した「勝俣州和の富士山バーチャルガイドツアー」です。
開催期間 |
2021年7月12日〜10月下旬 |
内容 |
専用アプリを起動して、富士山のコースや駅に設置された看板をスキャンすると、観光親善大使の勝俣州和さんのAR表示や動画による観光ガイドが表示される |
効果 |
・バーチャルガイドで人の接触を避けつつ、見どころや歴史などを知るガイドツアーを楽しめる ・「自宅でお試しAR」機能により、自宅でも富士登山の魅力がわかる |
感染症の拡大を防ぎつつ、富士登山に来てもらうために、ARの特性を活用しています。
事例2:湖東 妖怪封印ARラリー(滋賀県 びわこ湖東路観光協議会)
滋賀県の1市4町が共同で運営している「びわこ湖東路観光協議会」は、ARスタンプラリーの「湖東 妖怪封印ARラリー」を開催していました。
開催期間 |
2023年9月23日〜12月24日 |
内容 |
・彦根市・愛荘町・豊郷町・甲良町・多賀町の湖東地域に実在する「妖怪スポット」で専用アプリを起動すると、妖怪を封印するミニゲームが始まり、ゲーム終了後にARスタンプが集まる ・スタンプラリーが貯まると、交換所で特典がもらえる(条件をクリアしたスマホ1台につき1名様まで) |
効果 |
・ARスタンプラリーと特典により、該当地域周辺の旅行や観光を促す ・該当地域における妖怪が関連する歴史も知ってもらえる |
AR表示される妖怪は、スマホで五芒星を描いて封印する「封印アクション」というミニゲーム要素も楽しめました。
事例3:新潟市のXRプロジェクト(新潟県新潟市)
新潟市は、「NIIGATA XR プロジェクト」として、STYLYを活用した地域活性化の取り組みを行っています。
このプロジェクトは、産官学が一体となり、地域住民や学生が参加して進められました。
開催期間 |
2022年〜 |
内容 |
・地元の企業や学生にXRコンテンツ制作手法を教えるスクールを開催。 ・「にいがた2kmバーチャルウォーク」や「がたフェスvol.13」などのイベントでXRコンテンツを提供 ・ご当地Vtuber「越後屋ときな」のXRライブや「古町フル広場XR水族館」など多彩なコンテンツを提供。 |
効果 |
・地域の新たな魅力発信とにぎわい施策の推進。 ・地域住民のXR技術に対する理解と関心を深める。 |
まとめ
自治体におけるARの導入についてまとめると、以下のようになります。
- ARはスマホやタブレットのカメラを通して、現実世界にデジタルコンテンツを表示させる
- 自治体は地域活性化や地域創生、地域のつながりを深めるために、ARの話題性や注目度の高さを活用している
- 旅行や観光スポットは、ARスタンプラリーや観光ガイド、フォトスポットで付加価値を高めている
- 防災や避難訓練では、現実に起こり得る火災や浸水といった災害をARで疑似体験してもらう
- 地域誌や地域の施設もARの画像や映像で魅力を発信できる
自治体ではARの特徴を活用して、観光客の増加や、防災意識を高められます。
ARに魅力を感じた場合は、ARサービスを提供する企業を利用して、導入を検討してみましょう。