【VR教育】VRを教育に活用するメリット|事例や学習コンテンツも紹介
近年、教育現場では革新的な変化が起きており、その中心にあるのがVR(バーチャルリアリティ)技術の導入です。
VRを活用することで、学習者は没入感のある体験を通じて、より深い理解とモチベーションを持って学びに取り組めます。
しかし、VR教育の具体的な実践事例や適切な学習コンテンツの選び方については、まだ知られていないことが多いのが現状です。
本記事では、VR教育に興味を持つ初心者の方でも理解しやすいように、以下の3つのポイントに絞って解説します。
- VRを利用した学習方法の基本
- VR導入のメリットとデメリット
- 教育現場での実践事例とおすすめの学習コンテンツ
VR技術が教育にもたらす可能性を知り、自身の教育現場や学習環境にVRを取り入れるための足がかりにしてみてください。
VRを活かした学習方法とは?
VRを活かした学習方法とは、3DCGで作られた仮想空間に没入することで、実際には体験できない学習を可能にする革新的な教育手法です。
この手法では、学習者たちは今までにない体験を通じて、学びの質を高められます。
3DCGの仮想空間で今までにない教育が受けられる
VR技術を活用した学習方法の代表として、3DCGを駆使した仮想空間での学習があります。
3DCGを利用すれば、なかなか体験できないようなものも実体験のような感覚で教育体験できます。
革新的な3DCGの手法は、学習者に新しい形の没入型体験を提供し、能動的で参加型の学習を可能にすることから、今後の教育界の未来を大きく変える可能性を秘めています。
安全性を守りながら学びを深めることができる
3DCGの仮想空間では、歴史上の出来事を追体験したり、危険を伴う科学実験や化学実験、物理実習などをシミュレーションできます。
例えば、化学反応を引き起こす実験では、爆発のリスクなど高い安全対策が必要ですが、VRではリアルな反応を見られ、深い学びを得られます。
安全性が確保されているため、実際には体験できない場所や状況でも、VRを活用すれば疑似体験できるのです。
世界とつながることができる
VR教育のもう一つの大きな魅力は、時間や場所の制約を超えて、世界各地の文化や歴史を学べる点にあります。
- 普段は訪れることが難しい立ち入り禁止区域
- 世界遺産
なども、仮想的に訪れることができます。
例えば、エジプトのピラミッド内部やアマゾンの熱帯雨林をVRにて体験できます。
学習者たちは、VRから貴重な体験を得ることで、世界各地に足を運ぶことなく理解を深められます。
このように、VR技術はグローバルな視野を養う上でも、非常に有効なツールと言えるでしょう。
受け身の授業から能動的な授業へと変化する
VR技術の導入により、教室での学びは受動的なものから能動的な体験へと変わります。
学習者は教科書や授業を聞くだけではなく、仮想環境内で自ら探求し、体験と実験が可能となります。
VR教育は、従来の教育方法では難しかった、学習者主体の学びを実現するための強力なツールとなります。
学習理解がさらに深まる
VRを活用した授業では、学習者は抽象的な概念を視覚的に捉え、実際に「体験」できます。
例えば、生物学の授業で細胞の構造を学ぶ場合、VRを通じて細胞内部を「旅」することが可能です。
従来の授業では得られない直感的な理解を促進し複雑な概念をわかりやすく伝えられるというメリットがあります。
学びのモチベーションが高まる
VRを活用した学習は、机上の学習とはまったく違った学びです。
リアリティのある体験や、あたかもその場にいるような状況は、新鮮で興奮を呼ぶ体験です。
これにより、文字ベースで見ていたものが実現した気分になり、自然と学習への関心やモチベーションが高まります。
こうして授業が楽しくなることで、学習に対する前向きな態度が養われます。
VR技術は、学習者のモチベーションを高め、より効果的な学習を促すために役立ちます。
VR教育を取り入れるメリットとデメリット
VR技術の教育分野への応用は、近年注目を集めています。
VRを用いた教育は、従来の机上や文字ベースでの学びや授業形式を大きく変革させており、学習者に新たな体験をもたらす革新的な学習方法という、大きな可能性を秘めています。
しかし、この新技術を教育に取り入れることには、メリットとともにデメリットや課題も存在します。
VRを教育に取り入れるメリット
最初に、VR教育のメリットについて詳しく見ていきましょう。
学習者が主体となる体験型学習ができる
まず1つ目の大きなメリットとして、VRを活用した学習は、学習者が主体となる『体験型学習』が実現することです。
例えば、歴史の授業で古代エジプトを学ぼうとした場合、VRを通じてピラミッドやスフィンクスを仮想的に訪れます。
このように、学習者自ら歴史の舞台を探検することで、学習内容に対する理解が深まり、学習者の興味や好奇心が刺激されます。
これは、従来の教科書での学習とは異なった、より効果的で質の高い学習体験を提供します。
場所や時間にとらわれず一人一人にあわせた学習プランがたてられる
VR教育のもう1つの大きなメリットは、その柔軟性にあります。
VRは仮想世界で、あたかもその場にいるかのような体験を得られます。
そのため、現代の日本にいたとしても、海外のVR体験や過去にさかのぼった疑似体験を行うことを可能にします。
そのため、家でも学校でも、あるいは移動中でも、あらゆる学習を可能にするのです。
また、VRの内容は多岐にわたります。
個人に合わせた学習内容をあてがうことが可能です。
これにより、一人ひとりのニーズに合わせたパーソナライズされた学習環境が提供可能となります。
例えば、理解力の高い学習者は、より高度な内容に挑戦できます。
一方、理解に時間がかかる学習者も、自分のペースでじっくりと学習を進められます。
このように、VR教育は、従来の一斉授業では難しかった、個々の学習者に合わせた柔軟な学習環境を実現します。
オンライン授業の質が圧倒的に高まる
新型コロナウイルス感染症の流行により、オンライン授業の重要性が高まりました。
VR技術を導入することで、オンライン授業の質を大きく向上させられます。
例えば、体調不良で学校を休んだ学習者がいる場合でも便利です。
VRは時を選ぶことがないため、後日学習できることから、授業に遅れることなく学習を続けられます。
学習者はVRゴーグルを通して、実際に教室にいるかのような感覚で授業を受けることができます。
VRを教育に取り入れるデメリットや課題
続いては、VR教育を取り入れる際の課題やデメリットについて見ていきましょう。
最新技術のため指導者のトレーニングが追いついていない
VR技術はまだ導入されて間もないことから、すべての教師がこれを使いこなせるわけではありません。
VR教育を効果的に実践するためには、教師への適切なトレーニングとサポート体制の構築が不可欠です。
例えば、
- VR機器の操作方法
- VRコンテンツの選択
- 正しい活用方法
などについて、教師向けの研修を実施することが重要です。
また、教師がいつでも相談できる体制を整えることも必要でしょう。
- 技術的なトラブルに対応するためのサポートチームを設置
- VR教育に関する情報共有の場を設ける
教師同士が実践事例を共有し、課題や解決策について議論することで、VR教育のノウハウを蓄積していきましょう。
VRを学習に活かした事例
VR技術を教育に組み込むことで、従来の教室では実現が難しかった現実体験に近い学習が実現します。
そして、すでにVRを使った学習をしている教育現場もあります。
ここでは、VR技術を教育に活用されている事例をご紹介します。
豊田市立浄水中学校:世界中を社会科見学
豊田市立浄水中学校では、VR映像を活用した取り組みが行われました。
取り組み内容は『実際に訪れることのできない世界の文化や歴史をVR体験する』といったものです。
このプログラムを通じて、生徒たちはピラミッドやグランドキャニオンなど、遠く離れた場所にある重要なランドマークを「訪れる」ことができました。
この体験は、教科書や写真だけでは得られない深い理解と興味を生徒にもたらしたことでしょう。
加西市:VRで戦争中の暮らしを擬似体験
兵庫県加西市では株式会社STYLYと協力して、加西市にある戦争遺跡のデジタル化を行い、VRを通じて学習ができるコンテンツを開発し、地元の中学校で生徒たちに体験してもらいました。
専用のゴーグルを着用して飛行場跡を上空から見渡したり、タブレット端末をかざして近くにあった防空ごうの中に入る体験をしたりしました。
生徒からの反応もよく、普段中に入ることが出来ない戦争遺跡にVRを使用して遺跡内に入ったことで、生徒からの理解が深まったようです。
角川ドワンゴ学園:VRを活用した新しい授業の形
角川ドワンゴ学園では、VR空間でのプログラミング教育やクリエイティブワークを学ぶ授業が導入されました。
VR体験により、なかなかイメージの湧かないものを体験的に学べて、イメージ力が身につきます。
さらに、新しいテクノロジーに触れることで生徒の参加意欲と創造性を刺激します。
これにより、生徒がより積極的に参加し、教育コンテンツへの理解を深められます。
これらの事例からわかるように、VR技術を教育に活用することで、学習の質を向上させる多くのメリットがあります。
具体的には、以下のような変化が見られます。
- 教科書と違った体験型の学びにより、生徒のモチベーションが向上する
- イメージが湧かなかったものへの理解度の向上
- アクセスできない世界各地の体験や、実際にその場にいたかのような体験ができる
- 生徒のニーズや状況に合わせた個別化学習の促進
しかしながら、VR技術の導入にはコストや技術的なハードル、長時間の使用に伴う健康への影響など、考慮すべき課題も存在します。
これらの課題に対処しつつ教育の質を向上させられるように、VRは進化を続けています。
VR×教育のアプリ・サービス事例
VR技術は教育の可能性を広げ、学習体験を一新する力を持っています。
今回は、VRを活用した教育に役立つおすすめのアプリやサービスを紹介します。
Lifeliqe:STEM学習を強化
Lifeliqeは、3Dモデルとインタラクティブなコンテンツを駆使して、科学、技術、工学、数学(STEM)の学習を豊かにします。
細胞の構造や恐竜の化石など、通常では目にすることのできないオブジェクトを深く探究できるようになっています。
Lifeliqe公式サイトはこちら
Google Arts & Culture:仮想遠足を可能に
Google Arts & Cultureは、世界中の博物館や歴史的な場所、さらには宇宙まで、数百もの仮想遠足を体験させてくれます。
教室での学びを大きく広げ、通常の授業よりもはるかに魅力的な方法で地理や歴史を学べます。
Google Arts & Culture公式サイトはこちら
zSpace:教室でのVR/AR学習
zSpaceは、VR/AR技術を駆使して、解剖学や化学反応など、実際に手で触れることのできない対象を学べるアプリです。
このアプリでは、実態がない解剖などもできることから、科学的概念への理解を一層深められるように作られています。
これらのアプリ・サービスは日々進化を遂げており、今後も生徒の関心を引き、理解を深めるための強力なツールになるでしょう。
まとめ
VR技術を教育に活用することで、学習体験は大きく変わります。
VR教育には、以下のような効果があると考えられます。
- VRでリアリティを通じた体験型学習が可能
- 従来の教科書を利用する学習と大きく異なる学びの場が提供できる
- 個別に応じたVR映像が使えるため、学習プランを個別化できる
- いつでも利用できるため、オンライン授業の質が向上する
- 危険なことも安全に学べ、体験できる
- 世界各地を仮想訪問ができる
- 生徒のモチベーションが上がり、授業がより能動的になる
VR教育は、学習者が主体的に学び、知識を深める新しい道を開きます。
各種アプリを活用して、科学から歴史まで、あらゆる分野でリアルに近い体験ができるようになりました。
VR教育の導入は、これからの学習方法を一新する可能性を秘めています。
生徒たちのために、教育分野の新たな学び提供ができるのが楽しみですね。