建築業界でARは活かせる!具体的な事例とARを使うメリットをご紹介
VR観光とは、自宅にいながらオンラインで旅行の疑似体験ができるサービスのことです。近年の技術開発・発展により、VRを使った施策に取り組む企業や自治体が増えています。
企業や自治体による観光分野でもVRを活用して、これから市場が拡大していくことが予想されます。
今回は、VR活用のメリットデメリットとともに、実際の活用事例も解説しますので、詳しくみていきましょう。
観光分野でVRを活かす方法や事例が知りたい人には、必見の内容です。
VR観光とは?
VR観光とは、オンラインで旅行の疑似体験ができるサービスで、観光分野で急速に市場拡大し、注目を集めています。
自宅にいながら現地の風景や雰囲気を楽しむだけでなく、実際の旅行さながらのツアー形式サービスまで用意されているものもあります。VR観光について、以下でさらに詳しくみていきましょう。
VRとは
そもそも「VR」とは何を指し、どのようなことができるのでしょうか。以下で詳しく解説します。
VRは「Virtual Reality(バーチャルリアリティー)」の略
VRとは、「Virtual Reality(バーチャルリアリティー)」の略です。
「人工現実感」や「仮想現実」などと訳されます。
VRの体験は、おもにVR用のゴーグルやHMD(ヘッドマウントディスプレイ)などを頭部に装着しておこないます。
VRは、おもに以下のようなシーンで利用されています。
- エンターテイメント(ゲーム、ライブ映像など)
- ビジネス(社員の研修、トレーニングなど)
- 医療(手術のシミュレーション、患者への説明など)
- 教育(遠隔授業、社会科見学など)
VR空間ではよりリアルな体験ができる
VRゴーグルやHMDなどを装着すると視界の360度が覆われ、映像や音響などによって限りなく現実に近い世界に没入する感覚を得られます。
近年では、リモコン操作によって自分の動きがVR空間に反映されるため、利用者はよりリアルな体験ができるようになっています。
旅行業界でのVR活用法は様々
旅行・観光業界において、VRは様々な形で活用されています。
どのように活用されているのか、4つの具体例を出して紹介します。
1.観光客誘致のためのプロモーション
旅行業界においてVRは、観光客誘致のためのプロモーションとして活用されます。VRを活用して現地の魅力を事前に伝えることで、利用者は旅行中のイメージがつきやすくなるでしょう。
VRを活用することで利用者の行動を促し、「わたしも現地に行って体験してみたい!」と思うきっかけを与えられます。
2.VRツアーで疑似旅行を体験
旅行業界では、オンラインによるVRツアーで疑似旅行体験を企画しています。VRツアーを体験してもらうことで、利用者は実際に現地へ訪れるより格安で旅行気分を味わえるでしょう。
また、疑似旅行体験にもかかわらず、現地の郷土料理や名産品を注文して後日自宅に届けるといったサービスも展開されています。
まとまった休みが取れない人や、様々な理由で現地へ行くことが難しい人でも、旅行を楽しめるでしょう。
3.メタバース空間での観光体験
旅行業界では、VRを活用したメタバース空間での観光体験を実施しています。
メタバースとは、超越を意味する「メタ」と、世界・宇宙を意味する「ユニバース」を組み合わせた造語で、インターネット上の仮想空間を表しています。
メタバース空間での観光体験は、オンラインでおこなうことから、誰でも気軽にアクセス可能です。仮想空間の中で好きなように行動でき、現実さながらの映像で観光を楽しめます。
4.重要文化財の保護
VR観光の活用は、重要文化財の保護にもつながります。観光地には重要文化財がある場所も存在し、一般人は基本的に立ち入りできません。
ただし、VR観光では実際に立ち入るわけではないため、文化財を破損する心配がありません。
歴史ある重要文化財を安全な場所に保管したまま鑑賞できることから、文化の普及や保存も可能です。
旅行業界でVRを活用する効果について
旅行業界でVRを活用することで、どのような効果が得られるのでしょうか。
以下では、旅行業界でVRを活用することで得られる効果について、メリットとデメリットに分けて解説します。
旅行業界でVRを活用するメリット
旅行業界でVRを活用するメリットは、以下の3点です。
- ダイナミックで臨場感のある体験ができる
- 様々な人に体験してもらえる
- 観光地の活性化につながる
それぞれについて以下で解説します。
ダイナミックで臨場感のある体験ができる
VRを活用すると、ダイナミックで臨場感のある体験ができます。メタバース空間は人工的に作られた世界なので、『現実的ではない、まったく別の世界』と考えてしまう人もいるでしょう。
しかし、VRでは観光地のリアリティ溢れる魅力を伝えられます。たとえば、観光地でしか見られない絶景を360度見渡せるVRコンテンツを作れば、一般的な動画でプロモーションをかけている他社との差別化を図れます。
様々な人に体験してもらえる
VRを活用すれば、様々な人に疑似旅行を体験してもらえます。
VRは実際に現地を訪れて旅行するわけではありません。
そのため、身体が不自由な方や、高齢で実際の旅行が難しいといった人でも、ご自宅で安心安全に旅行気分を楽しめるでしょう。
たとえば、ANAグループ「ANA NEO 株式会社」のサービス『ANA GranWhale』では、世界中の観光地や文化をVR技術で再現し、安全かつ快適に楽しめるメタバースの旅行サービスを提供しています。
実際の旅行が難しい人でも疑似旅行を楽しんだり、買い物を楽しめたりします。
観光地の活性化につながる
VRの活用は、観光地の活性化につながります。観光業界においても、VRを活用した観光ビジネスに取り組むことで、新たな収益獲得の機会を作れます。
また、VR利用者が疑似旅行で訪れた観光地の魅力を知ることで、その後に観光地を訪れるきっかけとなることも期待できるでしょう。
たとえば、兵庫県の有馬温泉では、疑似入浴体験ができる「有馬温泉湯めぐりVR」を公開しています。自宅のお風呂に浸かりながら4K対応のVRゴーグルなどを装着すれば、VRの世界ではあたかも実際の宿の温泉に入浴している気分に浸れます。
その後、実際に観光地に訪れるきっかけを与えられるため、観光地の活性化が期待できるでしょう。
旅行業界でVRを活用するデメリットは?
旅行業界でVRを活用するメリットがある一方で、以下のようなデメリットが存在します。
- 初期費用がかかる
- 表現の工夫や差別化も必要
それぞれについて以下で解説します。
初期費用がかかる
VRを活用することのデメリットの1つとして、導入のための初期費用がかかることです。VRゴーグルをはじめとして、付属品を購入するだけでも数百万円を超える場合があるといわれています。
また、メタバース空間の構築には、機材以上に制作費用がかかることも考えられます。
しかし、メタバース空間は一度制作するだけで公開し続けられるので、イベントごとの費用はかかりません。長期的な活用を計画しているのであれば、費用をかけるだけの価値はあるでしょう。
表現の工夫や差別化も必要
VRを活用することのもう1つのデメリットは、表現の工夫や差別化が必要なことです。
VR観光はあくまでオンライン上で映像を楽しむものであり、旅行先の施設に触れることや、現地の町や自然の香りなど物理的な情報を伝えられません。
旅行先での人々との会話やふれあいなどのコミュニケーションを楽しみたい人、郷土料理を食べたい人にとっては、物足りなさを感じるでしょう。
そのためにも、リアルとバーチャルを融合した施策を検討するなど、表現の工夫や差別化をおこなっていきましょう。
【観光×VR】の実際の活用事例を紹介
では、実際にどのような企業(組織または団体)が、VRをどのように活用していったのでしょうか。
以下では、「観光×VR」の実際の活用事例を紹介します。
【国土交通省】VRを活用した観光バスツアー
本事例は、2021年12月〜2022年1月にかけて開催された観光庁と国土交通省都市局などが進めている、まちづくりのDXプロジェクトである「Project Plateau」の一環です。
横浜みなとみらい周辺で「VRを活用したバスツアー」が開催され、サービス価値が検証されました。
概要
横浜みなとみらいエリアにおいて開催された、3D都市モデルを活用したXR観光バスツアーです。
XRとは、現実世界と仮想世界の融合により現実にはないものを知覚できる技術の総称で、VRも含みます。
スケジューリング技術や予測技術などを用いて、交通状況ごと変化する走行状況の「間」に自動チューニングされたElastic(弾力性のある)な観光コンテンツを造成しています。
また、現実世界の物体の前後関係を反映するオクルージョン技術により、横浜みなとみらいのVRを形成し、没入感を高めています。
成果
おもに以下のような成果が出ました。
- 定期運行ツアーは、9割近い予約率、380名が参加
- XRコンテンツの利用によって、XR映像内の未来都市や海底都市世界などバーチャル空間データとして利用できることを確認
- 体験の質向上のために元の3D都市モデルデータよりも細かい粒度でモデルを作成し、世界観に合わせたテクスチャなどの効果を加えることで、映像制作コストの低減と没入感の向上を実現
- 天候不良や機器の接触不良などのトラブルもあり、体験の総合的な満足度向上に対しての課題が明確化
【JTB】新感覚体験プログラム「バーチャル修学旅行360」
本事例は、コロナ禍の影響で小中高生の思い出の一環となる修学旅行などのイベントが次々と中止を余儀なくされた状況下に、「すべての子供たちを笑顔にしたい」という願いのもと開発されたプログラムです。
概要
「バーチャル修学旅行360」とは、修学旅行訪問先の没入感あふれる映像体験や、通常の旅行ではできないVRならではの体験を、学校にいながら楽しめる新感覚体験プログラムです。
「京都・奈良編」「日光編」「沖縄編」の3つがあり、修学旅行の代替イベントや事前学習として活用できます。
成果
これまでに、全国数多くの学校が導入しており、子どもたちからは好評が寄せられています。
また、修学旅行の中止や方面変更で大きな打撃を受けた修学旅行の受入施設の方々や、伝統文化体験、オンライン交流などのサービス提供の場を設けることで、売上確保と来訪者拡大への貢献が期待されます。
【NOBORDER.z×手塚プロダクション×J&J】NFTを使用したVRゲーム
本事例は、「株式会社J&J事業創造」「株式会社手塚プロダクション」「NOBORDER.z FZE(ノーボーダーズ)」の3社によって、日本各地にちなんだNFTを使用したVRゲームを開発したものです。
このプロジェクトは、コロナ禍でダメージを受けた地域経済および国内観光マーケットの回復と支援を目的としています。
概要
上記3社は、地方創生をテーマとしたNFTゲームカードシリーズ「ASTROBOY x JAPAN(ご当地アトム)NFT」を開発しました。第一弾は、鳥取県編です。
利用者は、日本各地の魅力や文化の詰まったNFTを資産として所持できます。
カード同士を合成して新たなカードを生成したり、カードの売買によって収益をあげたり様々な遊び方があります。
成果
収益の一部は、コロナ禍以降のインバウンド需要の再拡大を促進する目的で、各地域産業に寄付されます。また、バイナンスが主催するチャリティー「バイナンスランチ For Children」にも寄付を行います。
【志摩スペイン村】オンラインゲーム上にリゾート施設を再現
本案件は、三重県志摩市の複合リゾート施設「志摩スペイン村」をモチーフとしたメタバースを、オンラインゲームプラットフォーム「Roblox」で制作したものです。
若者や遠隔地在住者に志摩スペイン村の魅力を知ってもらうことを目的としています。
概要
メタバース内では、志摩スペイン村の疑似体験やスペインの奇祭「牛追い祭り」「トマト祭り」をモチーフにした生き残りゲーム「Running of the bulls」が楽しめます。
コインを集めた数に応じて、志摩スペイン村ゆかりのアイテムを獲得できます。
成果
志摩スペイン村をモチーフとしたメタバース「志摩スペイン村〜Parque Espana〜」の訪問数は、2022年12月のオープンから約1ヶ月で2万回を突破したことが発表されています。
来訪者の半数以上は、アメリカやイギリス、フランスなどの諸外国からです。
また、来訪者からはその再現性の高さや、キャラクターモデリングのクオリティへの評価も高く、「幼い頃の現地での記憶が呼び起こされた」などという感想も寄せられています。
まとめ
今回は、VR活用のメリットデメリットとともに実際の活用事例を解説しました。
オンラインで旅行の疑似体験ができるVR観光は、観光分野で様々な活用がされています。
旅行の代替品としての位置付けではなく、『今までの旅行では得られなかったことを達成できる新たなツール』として、実際の旅行とはまったく別の市場を確立していくともいわれています。
「これからVR観光を導入したい」と考えている担当者は、VR活用のメリットデメリットを知った上で、先ほどの導入事例を参考にしながら検討してみてください。