建築業界におけるAR技術の活用事例が増えてきました。
近年、建築業界では、人手不足や技術継承といった課題が深刻化しており、AR技術はこれらの課題解決に貢献できるとして注目されています。
今回は、
などを、具体的な事例とともにご紹介します。
建築業界にARがどのように活かせるか、気になる方はぜひご覧ください。
ARにおける建築業界への活用事例をご紹介する前に、まずは「ARとは何か?」を解説します。
ARは「Augmented Reality」の略で、日本語では「拡張現実」と訳されます。これは、現実世界にバーチャルな情報を重ね合わせる技術です。
スマートフォンやタブレットなどのカメラを通して、現実世界をリアルタイムで認識し、そこにCGや動画などの情報を合成することで、あたかも現実世界に情報が存在しているかのように見せることができます。
建築業界におけるAR活用は、設計、施工、維持管理など様々な場面で大きな可能性を秘めています。
ここでは、AR技術を大きく2種類に分類し、それぞれの仕組みや建築業界での活用事例、メリットとデメリットを紹介します。
GPSや加速度センサー、磁気センサーなどの情報を利用して、デバイスの位置や方向を認識し、その場所に関連するデジタル情報を表示します。
メリット:
デメリット:
カメラで撮影した画像や動画を解析し、そこに関連するデジタル情報を表示します。マーカー型とマーカーレス型に分類されます。
マーカー型AR |
マーカーレス型AR |
|
仕組み |
事前に用意されたマーカーを読み込むことで、マーカーに関連するデジタル情報を表示します。 |
画像や動画中の物体や空間を認識し、そこに関連するデジタル情報を表示します。 |
メリット |
|
|
デメリット |
|
|
AR技術を建築業界で活用するメリットは、大きく以下の4つが挙げられます。
従来の図面や模型では伝えきれない情報を、ARで視覚的に表現することで、設計者、施工者、施主間のコミュニケーションを円滑化できます。
イメージの共有がスムーズになることで、設計変更や施工ミスなどのリスクを減らせます。
作業手順や注意事項をARで表示することで、作業員が迷うことなく作業を進められ、作業効率の向上に繋がります。また、遠隔地にいる専門家がARを通して、現場を支援することも可能です。
AR技術を建築業界に導入することで、
のコスト削減効果が期待できるとされています。
危険箇所や作業手順をARで表示することで、作業員の安全性を高められます。また、ARを使って作業員の動きをリアルタイムで監視することで、事故を防ぐこともできます。
AR技術は、建築業界におけるデザイン、設計、施工の各段階で様々な方法で活用できます。以下、それぞれの段階における具体的な方法と、そのメリットとデメリットを紹介します。
はじめにARをデザイン・設計・施工に活かす方法やARを使うメリットをご紹介します。
実際の空間に家具や設備をARで配置することで、空間の使い勝手を確認できます。また、ARで建物の外観や内装をリアルに再現することで、完成後の雰囲気を事前に確認できます。
従来の2Dの設計図と比べ、ARで設計図を3Dモデルとして可視化することで、建物の形状や構造をより立体的に把握できます。
そのため、平面図では見落としがちな部分も、ARで立体的に確認することで、修正箇所を見つけやすくなります。
例えば、
などを行うことで、設計段階で問題点を修正し、後のコストや時間の削減に繋げられます。
ARはお客様とのやり取りにおいても、様々なメリットがあります。
ここでは、ARを接客に活かせる具体的な例をご紹介していきます。
ARで設計モデルを提示することで、お客様が設計内容をより具体的にイメージしやすくなります。
今までイメージできなかったものも、ARであれば目の前でイメージを共有できることから、口頭表現でしか伝えられなかったものも映像化できるようになります。
また、遠方にいるお客様とのやり取りもしやすくなります。
これにより、お客様とのコミュニケーションや情報共有も円滑化し、設計段階での修正や変更をスムーズに行えます。
ARの活用により、
など、さらに顧客満足度を高められます。
ARを活用することで、いままでかさんでいたコストのカットや、時間の短縮が期待できます。具体的にどのように活用できるかをご紹介します。
ARで設計図を3Dモデルとして可視化することで、以下のメリットがあります。
口頭での説明が難しい複雑な内容も伝えやすいといったメリットがあります。
また、設計者、施工者、施主間で設計図などの共有により、意思決定の迅速化やミス削減にも繋がります。
施工段階においても、作業手順や注意事項をARで表示することで、
といった点に繋がります。
ほかにも、遠隔地にいる専門家がARを通して現場を支援することで、出張費や人件費などのコスト削減が可能です。
維持管理段階においては、設備の構造や情報をARで表示することで、
このように、結果的に維持にかかる手間暇やトラブルを解消できます。
ARを使うことで、従来の座学や実務研修では体験できなかった、安全で効率的な学習環境を提供することができます。以下に、AR技術を建築業界の研修・育成に活かす具体的な方法を紹介します。
ARを使うことで、危険な実習なども体験し、イメージもできることから、研修員は実際の作業を体験することなく、安全かつ効率的に作業手順を学習できます。
3Dモデルやアニメーションを使って、複雑な作業手順を分かりやすく説明できます。
危険箇所や注意事項をARで表示することで、安全性が向上します。
また、研修員は実際に危険な場所に立ち入ることなく、安全意識を高められます。
AR技術は、建築業界における設計、施工、維持管理など様々な場面で活用されています。以下、各段階における具体的な事例と、そのメリットとデメリットを紹介します。
建築業界におけるAR技術の活用は、設計、施工、維持管理など様々な場面で進んでいます。以下では、具体的な事例を紹介します。
AR技術を活用した施工管理システム「Shimz AR Eye」を開発し、設計図の3D可視化や空間との整合性確認などを行っています。
AR技術を活用した「鹿島の工事現場をのぞけるAR」を開発し、壁の向こう側の様子を見られます。
盛土や掘削土の土量計測や横断測量ができる「スマホdeサーベイ® AR版」を開発しています。
これにより、測量業務を大幅に省略することが可能となりました。
建築業界における設計、施工、維持管理など様々な場面で、AR技術を活用できます。
代表的なARアプリをご紹介します。
これらを用いて、作業効率の向上、安全性の向上、顧客満足度の向上など、様々なメリットを得られます。
AR技術は、近年急速に進化しており、今後もその進化は加速していくと予想されます。
5G通信やAI技術の発展により、AR体験はよりリアルで没入感の高いものへと成長すると考えられています。
また、今後はARとVRの融合技術も進み、新たな体験が生み出される可能性もあります。
ARは、私たちの生活や仕事の様々な場面で活用されていくことで、社会全体の効率化や利便性向上に大きく貢献していくでしょう。
中でも建築業界はイメージを映像化させることで、現場や営業、育成などにおいても、あらゆるメリットがあります。
ぜひ、ARやVRを活用し、よりよい提案や業務運営を行いましょう!